2009年10月20日

「いかのおすし」資金はどこから?

「いかのおすし」は、何か特定の団体が強力に推進しているものではないようです。ですからどこかに「いかのおすし」資金や予算が一括して組まれているのではありません。そうではなく、行政や警察をはじめ、学校や地域の団体がそれぞれ、「これはいいことだ」という思い込みのもとに、個別に推進しているもののようです。それでも、それぞれにインセンティブのようなものがあります。

たとえば、PTAは、独自の予算で「いかのおすし」を推進します。最近になって気がついたのですが、息子が入学したときにPTAからもらったプラスチックのファイリングケースには、でかでかと「いかのおすし」が印刷されていました。こういったファイリングケースはPTAの予算で調達されます。そして、こういったグッズの調達には、行政や外郭団体からの補助金が出るようなのです。「補助をもらえるなら」ということで、それにいくらかの費用を追加しやすくなります。このようにして、「いかのおすし」予算は膨らんでいきます。

ちなみに、同様の「いかのおすしグッズ」はポケットティッシュからペタメモまで各種あるようで、こちらの業者の資料によれば、たとえばポケットティッシュなら1個11円〜24円で調達できるようです。

そして、行政が直接、「いかのおすし」に支出することもあります。たとえば、こういうクリアファイルは、神奈川県では教育委員会から配布されているそうです(こちらの議事録参照)。教育委員会の配布ということですから、当然、県の方で予算が組まれているのでしょう。岡山県では、「「安全・安心の岡山」の創造」事業として、複数年度で2081万9千円の予算が組まれていますが、この中には「「ももっち&イカのおすし劇団」による「おはよう」運動」が含まれます。

市町村レベルでも、「いかのおすし」に予算が組まれているところがあります。北國新聞によれば、能美市の教育委員会は「いかのおすし」の下敷きとDVDを配布したとのこと。市政レベルでも「いかのおすし」費は計上されています。伊勢市では、平成19年度決算で防犯啓発事業 354万円の内訳のなかに、「「いかのおすし」チラシと子ども用グッズのセットの配布」が記載されています。八街市豊明市常総市大和郡山市などでは「いかのおすし」を求める質疑が議会で行われています。

行政から一応は独立していながらほぼ行政の一部である各地の社会福祉協議会でも、「いかのおすし」が事業対象になっています。たとえば、銚子市の社会福祉協議会松山市の社会福祉協議会では、いかのおすし関連事業を行っています。

警察の方でもいかのおすし関連の予算を計上しているようですが(たとえば石川県警の「警察行政主要施策の推進状況」という報告書)、むしろ、この手の啓発事業は、警察と一体化している防犯協会の方で行うことが多いようです。最初に書いたPTA等へのインセンティブは、こういった方面から出ているのかもしれません。

また、結果的に行政の下請けをやらされることが多いNPOでもいかのおすし関連事業は行われています。たとえば、NPO法人みらい子育てネット山形では、平成19年度の事業内容で「いかのおすし」の紙芝居の製作・配布を実施しています。愛知県の特定非営利活動法人「夢の箱」でも、いかのおすし普及を行っています。

そして、無数のPTAや自治会などの民間団体が、第一に善意から、そしてこれら行政や半公的機関からの要請や支援、補助があることから、「いかのおすし」の推進のために予算や人的資源を用意します。

このようにして、全国を合わせれば厖大なお金が、「いかのおすし」に注ぎ込まれています。ひとつひとつはわずかのお金であり、あるいは善意に基づいた協力である場合も多いでしょう。

私のように「"いかのおすし"は百害あって一利なしだ」という立場をとるものからすれば、これは非常に厄介な現状です。というのは、もしもこれが国家事業であれば、大元の「いかのおすし予算」を停止すれば事業は止まります。ところが、各都道府県、各市町村、各行政機関、各外郭団体、各民間団体ごとにそれぞれに予算が組まれているとなると、その全てを止めなければ「いかのおすし」は止まりません。「いかのおすし」の有害性を訴えるにしても、あらゆるレベルに訴えていかなければならないのです。現にここまで「いかのおすし」が普及してしまっている以上、これは不可能に近い難行でしょう。

ですから、私はこのような巨大な構造に真正面から取り組むべきではないと思います。子どもに直接「いかのおすし」が伝えられる現場は学校です。そして、子どもがもっとも「いかのおすし」の悪影響を受けやすいのも学校だと思います。ですから、「いかのおすし」問題は、まずは学校の問題、教育問題として取り組むべきではないかと思うのです。

実際、「いかのおすし」そのものは、100%害悪であるとも思いません。その中には警察の犯罪捜査の経験を踏まえた正しい情報も含まれています。問題なのは、人間に対する信頼感を培うべき小学校、幼稚園、保育園の教育において、無批判にそれが取り入れられていることなのです。無批判である教育関係者の姿勢が怖ろしいのです。

現場から、「いかのおすし」はもうたくさんという声が出れば、行政からの働きかけも自然におさまっていくでしょう。そう願いたいものです。
posted by 松本 at 10:44| Comment(1) | TrackBack(0) | 考察 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
ブログのぞきに来ました♪足跡がてらに残していきますね。
僕のブログちょっと気分がいされると思いますが、
書いてます♪またのぞきに来ますね。
Posted by 新川 at 2009年10月22日 15:35
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。

この記事へのトラックバック
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。