2009年09月15日

「知らない人」は「悪い人」?

「いかのおすし」の最大の問題点は、それが子どもに「知らない人は悪い人」という誤った先入観を与えかねないことです。

確かに、「知らない人」のなかに「悪い人」はいくらかの割合で存在するでしょう。しかし、では、「知っている人」のなかに「悪い人」は存在しないのでしょうか。いいえ、やっぱり同じくらいの確率で存在します。そして、通常は、「知っている人」からの犯罪被害の方が、子どもに与える影響は大きいのです。(たとえば平成19年の犯罪白書の図表では、平成18年には児童虐待で49件の殺人が検挙されており、これらは父親・母親らによるものです)。

「知らない人に気をつけましょう」という発想の中には、いくつかの誤った思い込みがあります。

ひとつは、「仲間内なら安全だ」という根拠のない身内意識です。こういった排他意識が何の効果もあげないことは、明治維新以来百数十年にもわたって指摘されてきたことです。私たちの頭の中は、未だに文明開化していないのでしょう。


こちらのブログで見つけた写真)

もうひとつの思い込みは、「他人が身内のことに口を出すものではない」という誤った社会常識です。かつて、家父長主義の下では、人は国家の支配と家の支配の二重支配を受けていました。人は法の下で平等であるかもしれませんが、一歩家のなかに入ればその法は効力を失います。このような家父長主義の下では暴力が当然であり、子どもに対する暴力は「しつけ」という名で正当化されていました。そして社会はそれに対して口を出すべきではないと考えられたのです。
つまり、警察は家の中のことには干渉しません。となると警察の役割は家の外を守ることになります。つまり、「知らない人」に対する警護をすればいいという発想につながります。家の中がブラックボックスである以上、悪意は外部からやってくるものになるはずなのです。

こういう考え方が効力を失っていることは、古くから指摘されていることです。

子どもたちに、正しいことを伝えましょう。それはきっと、こんなことではないでしょうか。

世の中には、信頼すべき人がたくさんいます。それは、知っている人の中にも知らない人の中にも、無数にいます。そういう人を見分け、そういう人にかかわっていくことが重要です。

一方、世の中にはわずかではあるけれど必ず、危害を加える人がいます。そういう人たちも、ほとんどは「悪い人」ではありません。けれど、さまざまな経緯から「悪いこと」をするようになっています。こういう人から危害を加えられないように用心することは大切です。

身を守ることは、自分一人ではできません。信頼できる人に相談することです。そのためにも、信頼できる人をみつけておかなければなりません。それだけは、自分でやらなければならない仕事です。

けれど、世の中には信頼できる人の方が危害を加えようとする人よりもはるかに多いのです。むずかしいことではありません。心を開いて、できるだけたくさんの人と話をしましょう。まっすぐに目を見て、自分をわかってもらいましょう。

それがあなたの身を守る第一歩です。


地域や家庭が本当に自分を守ってくれるものだという信頼をまず築かないことには、いくら「知らない人に気をつけましょう」と言っても説得力がないのではないでしょうか。
posted by 松本 at 10:46| Comment(0) | TrackBack(0) | 考察 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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